『乱高下のウォン・ドル相場韓国中小企業が非常事態…』
ウォン高ドル安によって韓国の中小企業の輸出競争力は悪化しています。
元々の中小企業の待遇の悪さもあり、今回の件は大倒産ラッシュのトリガーともなりうるでしょう。
にも拘らず不思議なことに韓国内では歓迎や楽観視する声もあります。
結局崩壊したウォン相場、1ドル…1100ウォン台輸出中小企業は非常事態
韓国の中小企業界がウォン高ドル安で赤信号が灯った。
為替損失に耐えられるマジノ線と見ていた為替レート1100ウォンの大台を割り込み、採算性(収益性)悪化に赤信号が灯ったのだ。
ウォン高ドル安が進めば、輸出競争力が悪化し、結局、収益性の低下につながる。
3日、ソウル外国為替市場でウォン・ドルレートは前日比3.8ウォン高の1,097.0ウォンで取引を終えた。
業界では為替損失に耐えられる水準は、大企業の場合1000ウォン、中小企業の場合1100ウォンである。
中小企業は海外各地に生産拠点を構築した大手企業と違い国内で生産ラインを稼動して輸出するため、相対的に為替変動リスクにより脆弱化する。
今回、中小企業界が最後のラインとみなしている1100ウォンの大台を割り込み、結局収益性減少への懸念が現実のものとなったのだ。
家電企業C社の関係者は「ドル建て為替ヘッジを70%水準としており、これまでウォン・ドルレートの変動による危険は大きくなかった」とし「しかし今回の為替レートが1100ウォン以下に落ちたため、利益減少は避けられない」と述べた。
医療機器業界の関係者は「ウォン高ドル安は我々のような小規模な輸出企業にとっても現金資産の減少につながる」と懸念を示した。
問題は、今後、ウォン高ドル安が進んでも、契約済みの物量は予定通り輸出を進め、損失はさらに膨らみかねないことだ。
電子製品D社の関係者は「大半の売上(製品の輸出)と仕入れ(原材料の輸入)がドル建てで取引されているため、ウォン高が10%進むと約2%の損失が懸念される」と述べた。
一部ではドル安の代わりに人民元・円など他の通貨で取引する物量を増やすべきだという主張も出ている。
化粧品輸出企業の関係者は「中国現地法人と人民元基準で化粧品の輸出取引を行っている」とし「最近、人民元が強気を見せているため、物品代金を回収する際に為替差益が発生し、利益が増加すると予想される」と述べた。
半導体装備会社代表は「米国が量的緩和に出ると予想され、今後ウォン・ドルレートはさらに下がる見通し」とし「中国と台湾など中華圏国家と取引する際、ドルの代わりに人民元で決済する案を検討中」と述べた。
専門家らは来年上半期には1060ウォンから1070ウォン台までウォン高が進む可能性があり、為替安定に向けた政府レベルの支援策が必要だと指摘する。
ノ・ミンソン中小企業研究院未来戦略研究団長は「韓国経済が感染症で危機に瀕したが、中小企業輸出で善戦している」とし「政府が積極的に為替をモニタリングして善意の被害者が出ないように支援し、特に為替だけでなく原油価格、海上運賃など総合的に輸出状況に気を使わなければならない」と強調した。
【これに対する私の見解】
それでは 記事を読んだ僕の感想ですが急激に進むドル安ウォン高で韓国の輸出企業が悲鳴を上げています。
一般的には自国通貨が高くなると輸出品の海外での価格が高騰して国際競争力が下がり、不景気の原因となります。
しかし韓国において、何故かこのウォン高を歓迎する声も上がっています。
というのもウォン高によって韓国は国民一人当たりの総所得が先進国水準の3万ドルを超えることが確実視されており、新型感染症の影響で3万ドルを切る事さえ考えられた韓国にとって見せかけだけとはいえ、ウォン高は嬉しい誤算でもあったからです。
言うまでもなく、あくまで外国為替による見た目の増加であり実質所得は全く増えていません。
外需主導型の韓国にとってウォン高は経済に致命的なダメージ負うリスクが大きいのですが、経済よりも先進国であることの方が重要とでも言いたいのでしょうか?
この記事によるとあたかも現在において、初めて中小企業が危機に至ったかのような書き方ですが、そもそも韓国の中小企業は以前より厳しい状態に置かれていました。
というのも韓国では伝統的にモノづくりを軽視しており、財閥系企業から細かな部品の製造の外注を受けている中小企業に対する扱いは劣悪なものだったからです。
財閥系企業はコストカットを名目に安い値段で受注することが多々あり、法律も大企業優位ということもあって、中小企業の置かれた立場はかなり弱いものとなっています。
また外国から目新しい技術や高精度の部品が登場すると、何の慈悲もなくこれまで取引していた工場を切り捨てて乗り換えるという傾向も中小企業を苦しめています。
このような不安定な待遇で優秀な技術や職人が育つはずもなく、財閥系企業も自国の中小企業は使い捨てとまで考えています。
このような事もあって韓国内では海外企業の下請けとなることを選択する中小企業も多いですが、ウォン高で輸出が厳しいとなっては八方塞がりです。
また現場の中小企業を軽視している財閥系企業ですが、何と自社の技術部門ですら軽視の対象としています。
そのこともあって財閥系企業の管理部門を中心とする出世争いに対して、技術部門は極めて不利な情勢で巻き込まれます。
その結果として上層部はほぼ管理部門の出身者で占められることとなり、製品の基礎的な技術を把握できていない幹部さえいます。
幹部には技術畑の人を必ず入れ、そこから社長になる事さえある日本の大企業とは対照的であり、現場のノウハウをトップが把握出来ていないのが、韓国系企業の停滞の一因ではないかと言われています。
いくら市場が安定しても、中小企業の置かれている立場が変わらないと根本は変わらないでしょう。
■この記事に対する反響
それでは、この記事に対する反響なのですが…「この無能政府は、輸出国家なのに良くする為の対策が1つも無いね…」「終わりの始まりだ…壊れた内需に輸出まで難しければ、もう終着駅が近付くのだ」といったように、政府の具体的な政策の無さを嘆く声が上がっています。
内需が新型感染症の影響で落ち込んでいる中、外需さえも落ち込むような事になれば経済は完全に終わってしまうのなんて素人でも分かるのに政府はまるで動かない、この状況が続いているのですから大きな危機感を抱くのも納得です。
しかし「ドルがたくさん入ってきてる!特に診断キット株の売上げが急増、外国人は感染症に善戦する先進国として韓国を指差し韓国株を買っているんです」と、ウォン高に対して楽観視する声もそれなりに見られます。
ウォン高によりKOSPIが最高値を更新し、韓国企業の時価総額が上がったという面もあり、東学アリ達にとっては満更でもないといった印象です。
しかしウォン高が続くと輸出で利益を得ている韓国企業は大ダメージを受けて株にも悪影響を及ぼすので、手放しで喜んでいる東学アリは傍から見れば滑稽に見えます。
相変わらず韓国市場は投資家のおもちゃの側面が強いですね。
それにしても乱高下の激しい通貨ですね。
このような不安定な状況が続けばアジア通貨危機の再現もあり得ます。
続きは動画で…