『米国を裏切った韓国の決断?「RCEP署名は中国傾倒ではない」』
RCEPの締結により世界最大の自由貿易協定が発足しますが、文大統領は声明で、この協定が自由貿易と多国間主義を促進させ、感染症拡大によって委縮した経済が回復することを期待しているようですが、果たしてそれは実現するのでしょうか?
文大統領「明日、RCEP署名を足がかりに”共存と協力”の道へ」
文在寅大統領が14日「今日の首脳声明の採択と、明日RCEP(域内包括的経済パートナー協定)への署名を足がかりにし、”保護主義” の道に対抗して “共存と協力” の道に進まなければならない」と話した。
文大統領はこの日午後、ASEAN+3 首脳会議に青瓦台でオンラインにより出席し、議題発言で「感染症によって萎縮した交易と投資を増やし、域内の供給網を復元する道は自由貿易と多国間主義にある」とし、このように明らかにした。
文大統領とASEAN10カ国首脳、中国李克強首相、日本菅義偉首相は、この日の首脳会議で自由貿易と多国間主義に基づいた『経済金融回復力に関するASEAN+3首脳声明』を採択した。
文大統領は「首脳声明をきっかけに必須人材の交流が拡大し、制度化されることを希望する」とし「韓国は多くの国家と『ビジネス関係者の迅速通路』を運営しているが、今後は迅速通路の導入地域がさらに増え、利用者範囲も広がることを期待する」と述べた。
続いて「韓国は韓日中3カ国協力調整国として、3カ国とASEANの協力強化のために必要な役割を続けていく」と述べた。
文大統領は議題発言を締めくくりながら「朝鮮半島の完全な非核化と恒久的平和定着のために、朝鮮半島平和プロセスを支持してくださったことに深く感謝する」とし「今後も変わらぬ関心と協力をお願いする」と述べた。
RCEPはASEAN10カ国に韓国・日本・中国・オーストラリア・ニュージーランドが参加するメガ自由貿易協定(FTA)だ。
参加国の人口は世界の3分の1水準の約23億人で、参加国の国内総生産(GDP)の合計は25兆ドルだ。
これら15カ国は、今月15日にRCEPを公式締結する予定だ。
RCEPは、米国が2010年に推進した環太平洋経済連携協定(TPP)に対抗し、中国が2012年から構築してきた貿易秩序の一軸である。
ドナルド・トランプ米大統領は2017年にTPP脱退を決定したが、ジョー・バイデン米大統領当選者は現在、日本とオーストラリアが主導する包括的・漸進的TPPに再び参加する可能性が高いと分析されている。
日本と豪州、ニュージーランドはTPPとRCEPの両方に加盟しているが、韓国はTPPからは外れている。
【この記事に対する私の見解】
RCEPが首脳会議で正式に締結された事で、韓国経済に及ぼす影響に関心が集まっています。
記事ではRCEPに向けた意気込みを語る文大統領の言葉を取り上げ、韓国にとって良い事づくめであるかの様に書かれていますが、決してそればかりではありません。
もちろん輸出額が多い韓国にとって、関税が下がる事は大きなメリットなのですが、実はRCEPに参加しているほとんどの国と、韓国は個別にFTA自由貿易協定が締結されています。
そのため、この点で韓国が特別大きな恩恵を受ける、という訳ではないのです。
例外として、日本と韓国は今回初めて自由貿易協定を結ぶのですが、これは韓国にとって必ずしも手放しで喜べる話ではありません。
例えば工業製品について見ると、関税撤廃率が90%を超えてしまうのですが、これは日本製品を、今までより安く手に入れることが出来るという事ですから、これまで関税で保護されてきた韓国国内企業のシェアが奪われるという事を意味します。
現状でも経営難に苦しんでいる中小企業にとって、これが大きな打撃となるのは間違いありません。
不買運動の中ですら、今年9月までに累積した韓国の日本に対する赤字は、1兆3592億円ですから、これがより一層膨れ上がる事は避けられないでしょう。
もちろん、いまだに掲げている日本不買運動の鎮静化にも影響するでしょうから、一部の岩盤支持層からは、政府に対する不満も蓄積することになると思われます。
また、この協定を事実上中国が主導した点も、米国との今後の外交的立ち位置を考えた場合、非常に難しい問題です。
これは文政権にとっても非常に悩ましいようで、青瓦台のカン・ミンソク報道官が「RCEPを中国主導の協定だとする見方があるが、これは間違っている」と述べるなど、必死に韓国は、中国寄り一辺倒ではないとアピールしています。
しかし当時大統領だったオバマ氏の提案するTPPに対抗して、中国のRCEP成立に向けて力を注いだ事は世界中が知る事実です。
バイデン氏はオバマ前政権でTPPを推し進めた一人ですし、現在RCEPに参加している国の中で、ASEANにもTPPにもクアッドにも含まれない国は中国と韓国しかありませんから、米国が韓国に踏み絵を迫る可能性は充分に考えられます。
韓国がRCEPに参加する事で、今後中国に経済的依存を強める事は間違いなく、コウモリ外交のツケが更に大きくなることは避けられないでしょう。
結局のところ今回締結されたRCEPは韓国にとって決して甘いばかりの話では無く、むしろ米国の今後の対中政策を思えば、より難しい舵取りを求められてしまったように思えます。
まさに外交の達人、文大統領の腕の見せ所ですが、果たして舵取りは上手くいくのでしょうか?
■この記事に対する反響のポイント
文政権は中国しか見てない!韓国国民の悲鳴届かず
それでは、この記事に対する反響なのですが…「勝手に決めないで国民と疎通してください!」「文在寅の顔は見たくない」「何が共存だ!共存だなんて話にならない、韓国産業は確実に止めを刺された…」といったように、一般的には中国を選んだと見える文大統領を非難する声が殆どの様ですね。
RCEP参加についても、喜ぶ声は殆ど見られずネガティブな声が目立ちます。
実際、今回の協定は関税削減・引き下げや、投資企業への技術移転要求を禁止するなど、協定に参加する国同士の貿易が、自由かつ平等に行われることを目的としたものであって、韓国が一方的に利益を享受するような物ではありません。
むしろ、単なる組み立て工場の役割しかできない韓国にとっては、この先競合となる中国や新興アジアの国々とのより厳しい競争が待っています。
そんな中で文政権が掲げてきた「所得主導成長」による最低賃金の引き上げや、「週52時間労働制」はむしろ、その競争力を削ぐような結果となっています。
その事に対する危機感がこうした声には溢れているようです。
また、そういった流れから「脱日本」が頓挫してしまうという考えもあるようですね。
そもそも、この時点で日本不買は過ちだと気付かないものなんですかね?
どんな協定を結んでも、自らの競争力と開発力を高めなければ、韓国には競合国に負ける未来しか待っていないでしょう。
続きは動画で…
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