『日本企業の中国脱出を羨む韓国文大統領の中国傾倒に危機感』
米中対立の影響が拡大する中、日本企業で脱中国を進める動きが活発化しています。
小売業などでは中国市場の恩恵にあやかっているとはいえ、中国と適切な距離をおくべく、着々と準備を進めている日本ですが、韓国ではこの動きを見て羨む声が上がっています。
「日本企業1700社が中国撤退!日本が羨ましい!韓国も撤退だ!」
日本企業が中国から大挙撤退し中国を困惑させている。
17日に中国環球時報は「1700社余の日本企業が相次ぎ中国から撤退することに対する真相」という記事を掲載した。
今月初めに日本経済新聞が報道した、日本企業が相次いで中国から撤退しているという内容の記事が中国人民に否定的な認識を持たせかねないとの判断から釈明に出た様相だ。
日経の9日の報道によると、中国に進出した日本企業90社が6月末までに中国からの撤退を申請した。
続けて7月末までにさらに1670社の日本企業が中国撤退を申請し1700社を超える日本企業が中国を離れることにしたのだ。
こうした日本企業の中国撤退は日本政府が主導している。
3月5日に当時の安倍晋三首相は、中国に対する依存を減らすとの趣旨から日本企業に中国から撤退し日本に戻るか、そうでなければ東南アジアに生産施設を移転するよう求めた。
安倍政権は1カ月後の4月7日には感染症流行と関連した緊急経済対策をまとめ、サプライチェーン改革の一環として中国から撤退して帰ってくる日本企業に対して一定の補助金を支給することにした。
これに伴い、6月末まで90社の日本企業が中国撤退を申請し、このうち87社が日本政府の補助金の恩恵を受けることになったという。
また、7月末までに1670社の日本企業が中国撤退を決めたのだ。
ここに安倍氏に続き16日に就任した菅義偉首相も官房長官在職中の5日に日経とのインタビューで、日本企業の中国撤退を経済安保的な次元から継続して推進するという意向を明らかにした。
こうした状況は中国人には日本企業が大挙中国から脱出しているという印象を与えるのに十分だ。
これを受け環球時報など中国メディアが鎮火に乗り出した。
環球時報はまず中国から撤退する日本企業の数が多いのではないと主張した。
現在中国に進出した日本企業は3万5000社に達しており、1700社は5%にも満たない。
一般的な状況で5~10%程度の企業が経営環境変化や自社の問題のため中国市場から撤収するため1700社の日本企業撤退は正常という状況に属するということだ。
また、現在中国を離れる日本企業の大多数は中小企業であり、中国の低賃金を狙った労働集約型産業に従事した企業のため中国経済に及ぼす影響は大きくないとした。
自動車や健康衛生など日本の主力企業は中国市場を離れる計画がない。
したがって日本企業が相次いで中国を離れているという表現は誇張されているという主張だ。
環球時報はまた、日本は2008年の金融危機後に海外進出企業に中国以外に東南アジアなど別の所に生産基地をもうひとつ構築するいわゆる「中国+1」戦略を要求してきたという。
このため今回の撤退はそれほど目新しいことではないという話だ。
特に日本貿易振興機構(JETRO)のアンケート調査によると、中国進出日本企業のうち90%以上が現状維持や拡大を試みており、日本企業が大挙中国を離れる現象はないだろうと主張した。
しかしこうした中国メディアの説明にもかかわらず、1700社を超える日本企業が6~7月に中国市場から撤退することにしたという事実は、中国とのデカップリング(脱同調化)を試みる米国の戦略とかみ合わさり中国に大きな懸念を抱かせるのに十分にみえる。
【この記事に対する私の見解】
といったように、日本経済界は着々と脱中国に動き出しているようです。
国家レベルで言えば、新たに発足した菅政権では、親中派の二階幹事長が続投するなど中国との関係性も考慮されてはいますが、安倍政権時代に続き、米国との関係性を重視する方向性は変わらないようで、米中対立が激化していけば、中国との距離感は徐々に広がっていくことが予想されています。
防衛大臣に安倍前総理の弟である、岸信夫氏を任命した点にも、中国に対する毅然とした姿勢は強く出ていることがよくわかります。
民間レベルでいうと、人権問題や香港の国家安全維持法の施行、パンデミックの隠蔽疑惑などで、中国への嫌悪感はかなり強くなっている印象があります。
それでも、小売業などでは依然としてチャイナマネーにあやかる風潮もあり、サプライチェーンや製造業など、中国に生命線を握られないようにしてうまくやっていこうという風潮があるようです。
リスク分散が難しい上に、経営者の鶴の一声で方向性が決まることの多い中小企業では既に、チャイナリスクや中国への嫌悪感から「脱中国」が盛んになっています。
それでは、この日本の動きを大々的に報じている韓国はどうでしょうか。
トランプ米政権が欧米各国や他の同盟国に対して、中国への対抗を強めるよう呼びかけている中、韓国…と言うよりは文政権は中国批判を避けている状況です。
香港やウイグルでの明らかな人権侵害問題に対しても、「人権派」と掲げている文大統領は口をつぐんだままでした。
遼寧省政府の内部通知によれば、中国当局が韓国側に特別措置を与え、経済利益で懐柔していることを明らかにするなど、中国に頭の上がらない様子が鮮明になっています。
文政権は中国への忖度をはばかりませんが、中国と韓国の関係性は「良好」と呼ぶには歪過ぎるものです。
感染症隠蔽疑惑が未だ拭えない中で、韓国と中国は人的交流を再開。
韓国国内からは大きな反発の声もありましたが、政府がこれを押し切った形となりました。
中国の「感染症克服アピール」に利用されただけでなく、この米中対立の最中で習近平主席の来韓に向けて準備を進めるなど、一方的に利用されている感が否めません。
中国の「韓国軽視」は様々な面で露呈しています。
例えば、在韓中国大使は、1月末の赴任後から8月末まで、79人の韓国の要人と会合したのにも関わらず、在中韓国大使は17ヶ月間でわずか20人。
それも地方や中小都市のリーダーばかりで、中国の報道機関や民間企業代表と会った記録はなく、中国4大直轄市や中国経済を牽引する広東のリーダーとの面会は許されていません。
パンデミックにおける支援においても韓国は、日本の倍近く中国に支援物資を送ったのにも関わらず、中国は日本に対して「特別な感謝」を述べ、韓国には他の支援物資を送った国々の一部として触れる程度にとどまりました。
これらの中国の反応を受けて、韓国国内からは文政権における韓中関係の限界を指摘する声が高まってきています。
しかし、THAAD騒動などもあり、依然として中国に弱腰外交を続ける文政権。
民間レベルでの中国への嫌悪感は高まっているとはいえ、国のトップがこの状態では企業が迂闊に「脱中国」へと動き出すのも難しい状況です。
そもそも、韓国政府と韓国企業の間には大きな溝もありそうですし、経済音痴の文大統領に、どこまで企業が付いていくのかも気になります。
■この記事に対する反響のポイント
韓国政府の方針に国民も不満噴出
それでは、この記事に対する反響なのですが…「中国を世界中が損切りするだろう」「韓国も中国の属国になる前に出て行こう」「日本だけでなく世界中が脱中国しなければならない」このように、韓国国内ではやはり中国に対する嫌悪感が高まっており、「脱中国」を推し進めようという声が多くなっています。
しかし、国を挙げて動くことは考えづらいことからも、「脱日本」のような盛り上がりを見せるのは難しいかもしれません。
韓国企業で言えば、サムスンがスマートフォンやパソコンの中国生産を取りやめたのに続き、11月末に中国でのテレビ生産から撤退することを決めるなど、米国のファーウェイ制裁に合わせて、表面上では「脱中国」の動きを強めています。
本音を言えば、ファーウェイを捨てるのは難しいようで、米国に輸出の特別許可を申請しているようですがね。
しかし、中国にばかり頼っていられないという状況があるのも事実で、中国市場ではファーウェイや中国企業の力が強くなりすぎて、利益が見込めなくなってきたこともあり、撤退する理由が無いわけではありません。
韓国では政府と企業の動きの不一致が、日に日に大きくなってきているように見えます。
今後、文政権下で韓国が、中国との距離をとっていけるか注目したいです。
文政権が中国や北に忖度し続けて、今後、韓国が得るものとは何でしょうか?
続きは動画で…