『韓国の防衛産業に暗雲が…
重要メーカー「現代ロテム」売却』
韓国最大手の自動車メーカー、現代自動車も厳しい状況が続いており、
現代ロテムという、国防にも直結する企業の売却を検討しているようです。
国防に不安を与えかねない状況を、韓国国民はどう見ているのでしょうか?
現代車グループ、現代ロテム売却検討
現代自動車グループが「現代ロテム売却カード」を切り出した理由に業界の関心が集まっている。
現代ロテムの時価総額(1兆2282億ウォン)を考慮すれば、
数千億ウォンの「ビッグディール」になる見通しだ。
24日、投資銀行(IB)業界によると、現代車グループは現代ロテムが
数年間赤字に苦しんでいることを受け、売却を検討することになったという。
現代車グループは、チョン・モング会長体制からチョン・ウィソン首席副会長体制に移り、
グループの中長期戦略を練り直している。
非収益事業は果敢に整理し、系列会社間のシナジーが可能な事業同士を
統合する事業再編作業が行われているという。
現代ロテムは昨年、売り上げ1兆3056億ウォン、営業赤字2799億ウォンを記録した。
前年対比売上は11%増加したが、営業赤字は41%増加した。
鉄道・プラント部門の赤字が続いている上、防衛産業部門の収益性も過去より大きく減り、
赤字が雪だるま式に膨らんでいる。
現代車グループは、系列会社事業の再編方針を受け、防衛産業部門は外部売却に乗り出す見通しだ。
昨年90億ウォンの営業利益を出して唯一黒字を出した事業部だが、
グループ内の成長余力には限界があるという分析だ。
通常兵器から先端兵器に防衛産業が重点が移り、
大々的な投資または売却を決定しなければならない時点という判断も作用したようだ。
有力な買収候補としては、
事業構造が類似した地上兵器メーカーのハンファディフェンスが取り上げられている。
現代ロテムとハンファディフェンスは車輪型装甲車、
自走渡河装備など重複する地上兵器のラインナップがある。
実際、ハンファディフェンスが買収を検討したと伝えられたが、現在はこれを撤回した状態だ。
現代ロテム防衛産業事業の構造が、
未来の成長性の面で魅力が落ちるという評価を下したものと見られる。
現代ロテムは、戦車や装甲車、模擬訓練装備群など、通常兵器のラインナップを主軸としているが、
韓国軍の通常兵器発注事業の割合は、徐々に減っている。
そのため、海外販路を積極的に開拓しなければならないが、状況は容易ではない。
一方、ハンファグループはサムスン、斗山グループから防衛産業系列会社を相次いで買収し、
防衛産業事業を積極的に育成しており、軍需と民需分野で頭角を現している。
ある防衛産業界の関係者は「軍の大規模通常兵器事業が大部分終了した状況で、
現代にアイテムを持ち込むというのは、リスクをもう一つつけることだ」とし、
「防衛産業の特性上、クロスボーダーディールが困難で、国内でディールを進める場合、
ハンファ以外の戦略的投資家(SI)を見つけることが難しくなる可能性が高い」と評価した。
一方、現代ロテムの鉄道・プラント部門は現代車グループ内の他の系列会社に売却する
という話が出ている。
現代エンジニアリング、現代建設などがロテムの鉄道・プラント部門を買収し、
グループ内のシナジー効果を狙うという戦略だ。
建設業に関連する事業を一ヵ所に集めて「規模の経済効果」を出すということだ。
現代エンジニアリングと現代建設の保有現金は十分な状態だ。
今年第1四半期の連結基準の現金性資産は、
現代エンジニアリングが2兆6167億ウォン、現代建設が5兆4736億ウォンに達する。
ただ、現代エンジニアリングと現代建設は全般的に
土木、建築・住宅、プラント業況が良くない点が障害だ。
両社は、国内では政府の住宅事業規制の強化、
海外では原油高によるプラント事業の受注不振という二重苦に悩まされている。
【この記事に対する私の見解】
といったように、鉄道や兵器を製造してきた現代自動車グループの
現代ロテムが身売りの危機に立たされているようです。
一時期は、鉄道車両の輸出で各国から注文があった時期もあったようですが、
2010年以降、アメリカやウクライナにおいて、納車の遅れや安全面におけるトラブルが続出し、
一時は中国から技術移転を請われ(こわれ)ていた全盛期の姿が影も形もなく
海外受注ゼロにまで追いやられているようです。
世界の高速鉄道市場は大きく変わり、中国企業が今やそのトップに君臨しています。
現在、中国は世界の高速鉄道の65%を占める2万1000キロの路線を施工(せこう)、
車両分野でも世界市場シェアが3割を超えたほか、
世界102カ国との間で高速鉄道輸出契約を結ぶなど、もはや現代ロテムが付け入る隙はありません。
これは車両の輸出に限った話ではありませんが、世界的に見ても製造業で、
コストを重視するのであれば中国、品質を重視するのであれば日本、といった風潮が強く
どちらつかずだった韓国企業は需要が減少しつつあるようです。
特に、鉄道車両においては、発展途上国などでは日本の中古車両の人気が根強く
昭和に活躍した日本の車両が、ミャンマーなどで現役で活躍している様子は頻繁に見られます。
しかし、韓国の車両は価格の割に耐久性が低いため
どこの国でもニーズを満たさないというのが現状なようです。
別の角度から見ていくと、韓国の鉄道業界が振るわない要因として、
専門家らは韓国鉄道事業の「上下分離」が弱点になっていると指摘しています。
韓国では高速鉄道KTXが開通した04年以降、線路「上」を走る列車の運営管理はKORAIL(コレイル)が、
線路など基盤施設の建設・管理は施設公団が担う分離体系を取っています。
中国やフランスなど、世界の鉄道先進国の多くが競争力確保のため鉄道運営・施設統合型に
続々転換しているのと、逆行する形となっているのです。
事実、2011年には運営管理を行う韓国鉄道公社が、現代ロテム製の新型車両の欠陥で故障が相次ぎ、
利用者からの信頼を傷つけられたとして、現代ロテムを相手に損害賠償を求める訴訟を起こすなど、
鉄道業界内で故障の責任を巡り内輪もめも頻発しています。
これらの騒動により、海外への売り込みには黄信号がともっただけでなく、
国内でも運行の安全確保に対する姿勢に疑念の声が上がる事態となり、衰退の要因となりました。
また、現代自動車グループは特に労働組合の力が強いため、製造チームや役員報酬が過剰に高く
開発チームには予算が割かれないという事態が起きているのです。
多額の賃金を受け取っている製造チームのモチベーションも高いとは言えません。
2013年に韓国のメディアが、現代自動車の組み立てラインで作業をする労働者が
タブレットやスマホを弄りながら作業をしていると告発記事を報じましたが、
経営陣はそれでも彼らを解雇することはできないのです。
現代労組は韓国内でも強硬派として有名で、経営陣が何かの問題で労組の逆鱗に触れると、
すぐにストライキを起こしてきました。
ストライキによる被害を避けるために、これまで労組に妥協をしてきました。
そして文政権は、労組に肩入れし、今後も支援をすることとしています。
こういった事から、国防にも直結する企業の身売りになりかねない状況にまで陥っていますが、
暴走する労組をなんとかしなければ助け舟を出してくれる企業もいなくなってしまいそうです。
■この記事に対する反響のポイント
・現代グループを弱らせた労組問題
・南北鉄道事業の今後
・経済低迷の影響
それでは、この記事に対する反響なのですが、
現代グループと言えば労働組合といった認識が強いようで、この売却に関して
「労組もセットで売れるのか?」というニュアンスの意見が多くみられます。
防衛産業の危機という面よりは、労組による現代グループの弱体化に目が向いているようですね。
また、現代ロテムが鉄道事業を持っていたことから、「南北鉄道は失敗する…」という意見も見られます。
他には、経済低迷が防衛産業にまで影響しだしたことに対する不安感が見られますね。
【これに対する私の見解】
といったように、韓国国内でも文政権以降の労組の暴走と
彼らに肩入れした文在寅に対する非難の声が多く見られます。
このような状況でも国会で賃上げ要求をしているのですから、
文政権が方向を変えないと、まだまだ製造業の低迷は続きそうです。
製造業こそが本来若い世代にとって最適な雇用の場であるにも関わらず、
票集めのために労組に肩入れし、産業の空洞化を推進させた文政権の罪は非常に重いと言えるでしょう。
北も不穏な動きを続けているなか、防衛産業の低迷は国防に大きな損失を与え、
韓国国民は不安を抱えることになりそうです。
多くの企業の経営危機を紐解くと、
最終的に文政権の失策に
たどり着くのですから驚きですね。
続きは動画で…