『「南北統一で世界2位の経済大国!」韓国国民が考える今後の韓国』
過去に南北統一の経済効果に期待を語っていた「投資の神様」ジムロジャース氏ですが、「南北統一で経済大国に」と述べる韓国政府にとっては非情に強い後押しでした。
しかし、予想とは逆行し北との距離が深まる現在の状況で韓国国民はこの発言をどう見るのか?
「統一韓国、日本を抜いて世界2位の経済大国になれる」
ジム・ロジャーズは、「さらに多くの変数はあるが、2020年末までに朝鮮半島で本格的な交流が始まるもの」と展望し、具体的な「統一韓国」のシナリオを提示した。
ロジャーズは、「南北の経済統合が実現すれば、交通インフラ部門で莫大な投資が流入し、多くの雇用が創出されるもの」と見ている。
特に、大陸横断鉄道と北極航路は、これまでとは全く異なる次元の国際協力を可能にし、統一韓国には新しい機会を提供する見通しだ。
北朝鮮地域で推進される事業のうち、最も有望な分野は観光だ。
非武装地帯(DMZ)と羅津(ナジン)·先鋒(ソンボン)経済特区などを直接訪問したことがあるロジャーズは、朝鮮半島を横切る全長248キロ、面積では907平方キロでマンハッタンの10倍に及ぶDMZ地域は美しい生態系がよく保存されており、観光地としての潜在力が非常に大きい場所だと評価し、西ドイツと東ドイツを隔てる国境地帯から生態観光地に変身した「グリュース·ネバント」開発事例を参考にできると助言した。
また、金剛山をはじめ、東海岸一帯も海と山を一緒に享受できるメリットに満ちた観光地とし、ユーラシア鉄道が開通されれば、観光地として同地域が持つ魅力は極大化できると予想した。
この他、北朝鮮が開発可能な鉱物·資源だけで43種にのぼる「資源大国」という点に注目した。
多くの資源を輸入に依存する韓国と、インフラや技術不足で保有資源を開発できない北朝鮮の双方に資源協力こそ「相性のいい」事業だと言わざるを得ない。
全世界的に関心が高まるエネルギー分野でも「統一韓国」が期待できる経済的利益が多い。
南北とロシアをつなぐガスパイプラインの敷設は、3国の利害関係が合致する事業だ。
韓国は安価なロシアガスを輸入し、エネルギー輸入コストを削減し、輸入先の多角化を図ることができ、環境改善効果まで収めることができる。
ロシアはガス輸出全体の80%ほどを占める欧州への依存度を下げることができ、北朝鮮はガスパイプラインの使用料を手にすることができる。
朝鮮半島から近いロシア極東地域からガスを輸入して得られる運送費の削減分は、3国が分担することになるだろう。
この様に南北の経済統合は新しい成長動力として作用し、人口8千万の統一韓国が日本の国内総生産(GDP)を軽く超えるのはもちろん、世界2位の経済大国に浮上する09年ゴールドマンサックスの展望は現実になるとロジャーズは強調した。
【この記事に対する私の見解】
何故か朝鮮半島への強い期待を持っている「投資の神様」の異名を持つジム・ロジャーズ氏、韓国のネット掲示板では昨年報じられたジム氏の発言を引っ張り出して、現在の北との状況を照らし合わせて意見が交わされています。
ジム氏と言えば、かつてジョージ・ソロス氏とともに伝説のヘッジファンドを経営し、一時期は約4000%という驚異的な利益を上げたことで知られる投資家ですが、ここ数年のジム氏の「朝鮮半島期待論」はいずれも空振りに終わっています。
それでもなお、韓国と北の統一に、強いビジネスチャンスを見出しており文大統領の南北融和政策にも共感する数少ない欧米人と言えるでしょう。
まず観光については、このパンデミックの状況で何を言っているんだと言わざるを得ませんが、2015年末から2016年初めにかけて実施された北朝鮮へのツアーに参加中に北に拘束され、帰国後死亡したオットー・ワームビア事件をジム氏は知らなかったのでしょうか?以前から北に渡った外国人が拘束、残酷な拷問を受け死亡した事件は枚挙にいとまがありません。
例えパンデミックが収束したとしても、非人道的な行為が未だに行われている国に、観光で行こうと思うのはよっぽどの物好きに限られるでしょう。
そして、ジム氏が以前から着目しているのは北の豊富な資源です。
確かに、北はレアアースなどの埋蔵量が豊富だと言われており、資源の有効活用次第によっては多額の資産を生み出すこともできるかもしれません。
しかし、北にはそれらを活用するノウハウも設備もなく、長いこと宝の持ち腐れといった状況に陥っています。
大国が介入し、適切な開発を行えば発展の道が開かれるのかもしれませんが、金正恩氏をはじめとした一族による独裁が続く限りはその望みは限りなく低いと言えるでしょう。
いずれにせよ文政権に金一族を手玉に取り、レアアースを引き出す外交手腕があるとはとても思えません。
武装していない一般人に対する蛮行や、領海問題への追及などとやられたい放題ですし、南北の融和が進んだところで、困窮する北の国民の支援に利用されるのがオチでしょう。
レッドチームと揶揄されることもあるように、中国と北、ロシアと北の結びつきは非常に強いものとなっています。
北の経済が解放されるとして、これらの大国がやすやすと韓国に利権を渡すでしょうか?これまでの文政権の外交をみていれば、旨味だけをとられ、負の遺産だけを押し付けられることになるのは火を見るより明らかです。
2019年の1月に大韓航空の株を爆買いしたというジム氏ですが結果としてゾンビ企業に成り下がっています。
ジム氏にとってはこれくらいの失敗はなんてことない出費なのかもしれませんし、彼に苦言を呈することのできる人物などいないのでしょうが、晩節を汚さぬよう、朝鮮半島へ過度な期待をするのはそろそろ控えたほうがいいかもしれません。
それでは韓国国民は、このジム氏に対してどのような意見を述べているのでしょうか?
■この記事に対する反響のポイント
こういった著名人による扇動に懸念を抱く国民
それでは、この話題に対する反響なのですが…「乞食集団と合わさって世界経済大国2位とか、死んでもごめんだ!」「統一どころかどんどん国の距離が開いていますね」「夢から覚めてください」このように、ジム氏の予想を完全に逆行していることを受けて「何をいっているんだ」という意見が大半を占めています。
北による蛮行が起きたばかりで、それに対する政府の対応もひどく杜撰なもので、南北統一をうたいつづける文政権には国民もあきれ返っています。
ここまで明らかに北に非がある事件でも、毅然とした対応を取れないのであればレアアースを引き出し、観光で一儲けなど夢のまた夢です。
韓国国民の間では「今後政府のプッシュを受けてまた希望的観測を出すのでは?」とジム氏を北のイメージ回復に政府が使用してくるだろうと懸念しています。
もしそうした動きが見られれば、過度な印象操作はかえって逆効果となるでしょう。
南北統一に取り憑かれ、国際社会の孤立も厭わない文政権。
世界だけでなく国民の信頼まで失うのも時間の問題と言えるでしょう。
そもそも、ここまで外したジム氏をイメージ回復に使うでしょうか?
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「南北統一で世界2位の経済大国!」過去の投資家発言と比較、韓国国民が考える今後の韓国について【世界情勢】
「統一韓国、日本を抜いて世界2位の経済大国になれる」