輸出管理から1年、韓国は日本依存から脱却を進めている、国産化は半分成功！…でも、日本の協力は必要だ【世界情勢】

日本からの輸出管理強化を受けた韓国が、日本からの依存脱却の道を模索してまもなく1年ですが、
全国経済人連合会が開いたセミナーが出した総括は、なんとも不思議なものでした。
「素・部・装独立運動の半分が成功を収めた」と、国内生産が進んでいるかのように言いながら、
「日本との緊密な協力は選択ではなく必須」という結論には首をかしげてしまいます。
日本に頼らなくとも問題ない、けれども協力は必須、というのは矛盾してはいないでしょうか？
輸出規制を受けた3品目の中で、特に成果が著しいとされるフッ化水素から見てみましょう。
日本への依存度を12.3％と大幅に減らしたフッ化水素は一見順調に見えます。
しかし実際に韓国で製造しているのは日本のステラケミファ社、森田化学工業との合弁会社であり、
それをもって日本からの依存を脱却した、と言い張るのは苦しいでしょう。
結局のところ技術特許を日本が持っているのでは、日本からの依存脱却は進まないからです。
また生産されたフッ化水素の品質についても、考慮する必要があります。
韓国において非常に重要な位置づけにある半導体産業では、
その製造に純度12N（トゥエルブ・ナイン）の、極めて高純度なフッ化水素が求められます。
そしてその超高純度フッ化水素は世界でも3社のみ、
日本企業のステラケミファ・森田化学工業・ダイキン、でしか製造していません。
低純度でも十分な、冷蔵庫やエアコン、液晶パネルとでは、要求される純度の桁が全く違うのです。
はたして韓国はその技術を自力で開発できるのでしょうか？
率直に言って、その可能性は非常に低いと言えるでしょう。
韓国内のほとんどの科学技術研究分野は、基礎科学ではなく、応用科学に偏っています。
そしてすぐに成果を出さなければ、研究は中止で支援も打ち切られてしまうのです。
記事中パク教授が「半導体素材企業の年間平均研究開発費は日本が1534億ウォンなのに対し、
韓国は130億ウォンに過ぎない」と嘆く言葉の中に、現場の切実さが表されています。
この環境の中、韓国が自力で技術開発を成し遂げる事は非常に困難であると言わざるをえません。
残る2品目については更に厳しい状況です。
フォトレジストに関して日本への依存度を下げようと、アメリカ・ベルギー・ドイツなど、
輸入先を多様化させましたが、結果日本からの輸入額は33.8％増えてしまいました。
また、今年1月には米デュポン社を国内に招き、フォトレジスト開発・生産工場の建設をする、
と発表しましたが、その効果はいまだ出ていません。
そして最後になるフルオリンポリイミドについて、現状何一つ効果的な対策は打てていません。
核心技術は手つかずのままのフッ化水素。
対策はしたものの未だに効果の出ないフォトレジスト。
問題解決の糸口すら見つかっていないフルオリンポリイミド。
これらを踏まえて3品目を並べて見ると、「素・部・装独立運動の半分が成功を収めた」
という言葉から浮かび上がるイメージは、決してポジティブなものではありませんでした。
むしろ半分「しか」成功していない、と捉えるべきなのでしょう。
日本からの依存脱却の道筋が見えない中で、何とか日本の協力を取り付けたい。
しかし感情的にも世論的にも、それをストレートに言うことがはばかられる空気。
日本の輸出厳格化措置に反発して、昨年７月から始まった韓国の日本製品不買運動ですが、
肝心の規制3品目を日本から不買することは難しそうです。

それでは、この記事に対する反響なのですが、
日本依存からの脱却は、あちらの国民の悲願のようで、必死な様子が伺えますね。
「日本からの輸入を中止」という声が上がっていますが、それをすると困るのはそちらですからね。
また、フォトレジストの状況を見て「まだそんなに輸入しているのか」と落胆の意見が見られます。
そして依然こうした声は大きいのですが、「簡単に国産化できるわけがない」という意見も出ています。
どうやらあちらの国民も今の状況を流石に把握して来ているようで、
「政府は対日を利用している」という意見もかなり見かけますし、
この手の成功報道は、今後政府にとっては逆風になっていくことも考えられます。

今回の様に不買運動に関連した問題では、愛国心が刺激されるためか強い対日感情が多く見られます。
「敵は日本」であり「日本からの輸入を中止」して「日本にどんな利益も与えない」
このような意見は確かに勇ましいのですが、あんまり並ぶと少し疲れてしまいますね。
そんな対日感情の圧力から、技術開発が進んでいないなどとは正直に言えない空気を作り、
「半分成功」と言わせてしまったのではないでしょうか。
技術開発に力を注ぎ、韓国が最高の技術国家になる、という意見も多くありましたが、
現実にその夢を叶えるには、この記事の最後の「日本との協力は必須」
という言葉を、感情に流されず直視する必要があるでしょう。
それを飲み込んで初めて、対日依存脱却を目指す韓国の道が開けるのではないでしょうか。

結局のところ日本製品を輸入しているという事実。
目を背けても、そこから逃げられません。