『三峡ダムの決壊被災者は4億人以上!放流を続ける本当の理由とは?』
日本でも各地で次々と豪雨による被害が報告されていますが、この豪雨による被害は日本だけではありません。
6月半ばから中国でも豪雨によって、世界最大規模の三峡ダムが決壊リスクに晒されています。
もし決壊となれば未曾有の被害が出ると言われていますが、一体どのような状況なのでしょう?
洪水被害が広がる中国、三峡ダムは果たして持つのか
中国の豪雨被害は、日本の比ではない規模で進んでいる。
その中心にあるのが、中国の「母なる大河」長江(揚子江)の氾濫だ。
主に台湾メディアが、このところ「三峡ダム決壊説」を報じていて、それが一部の日本メディアにも伝播している。
台湾メディアでは、「三面挟攻(サンミエンジアコン)」という表現を使っている。
空から降ってくる豪雨、長江の上流から流れてくる激流、それに三峡ダムの放水による「人工洪水」という「三面からの挟撃」に遭って、武漢や上海など、長江の中下流地域が甚大な被害に見舞われるというのだ。
そして「三面挟攻(サンミエンジアコン)」の結果、「そもそも50年しかもたない三峡ダムが決壊するリスクができた」と報じている。
逆に中国メディアは、水利の専門家たちを登場させて、「三峡ダム決壊説」を強く否定している。
例えば、「三峡ダムの『豆腐渣工程』(トウフジャーコンチャン=おから工事)によって水が漏れだしやすい」という指摘に対しては、「三峡ダムは通常のダム工事以上に、セメントが太陽光で高温度にならないよう冷却しながら工事したため強固だ」と反論。
「ダムからの放水によって中下流で洪水を起こす」という懸念には、「放水時には水が上向するよう仕向けており、下向して放水が河川と合流する地点を深く掘っていて、そこでいったん水流が止まるので、緩流になる」と説明している。
私は、台湾メディアも中国メディアもウォッチしているが、「三峡ダム決壊」はないと思う。
もし万一、そんな悲劇が起これば、それは長江中下流の数億人に影響を及ぼすばかりでなく、習近平政権自体が崩壊の危機に見舞われるだろう。
実はこれまでにも、中国国内で「三峡ダム決壊論」は議論されてきた。
だがそれは主に、軍事的側面からの考察だった。
「米中戦争になったら、アメリカは真っ先に三峡ダムを狙い撃ちする」というのだ。
今回のような「豪雨による決壊論」が取り沙汰されるのは、初めてのことだ。
それだけ、2006年に完成以来、三峡ダムがこの14年で最大の危機に見舞われているということは言える。
そもそも中国は、歴史的に見ても、世界最大の水害大国である。
中華民族が農耕と牧畜を始めて定住して以降、水害問題は北方異民族の侵入とともに、常に国家の最重要事だった。
確認されている中国最古の王朝は夏(紀元前2070年頃~紀元前1600年頃)だが、司馬遷の『史記・夏本紀』によれば、初代の王である大禹は、治水の名人だということで王に推挙された。
その伝統は、いまの中国共産党政権にも引き継がれている。
中国には「水利部」という治水専門の中央官庁が存在する。
先代の胡錦濤前主席は、清華大学水利工程学部河川発電学科を卒業したエンジニアで、「中国で最も偉い水利の専門家になるのが夢だった」と述べている。
胡錦濤時代には、毎年最初に出される重要指令「中央一号文件」に、水利問題を扱ったりしていた。
そんな胡錦濤政権の時代に、三峡ダムが完成したわけだが、三峡ダムの建設は、胡錦濤前主席の本意ではなかった。
先代の江沢民政権に押し付けられて引き継いだのである。
江沢民元主席は、自分の拠点である上海の電力不足を憂慮したのと、「中国建国以来の大事業」に心惹かれた。
当時の李鵬元首相は、「水利利権の頭目」と言われ、巨大ダム建設が莫大な利権を生む旨みを知っていた。
かくして1994年の年末、湖北省宜昌市で、全長3335m、高さ185m、発電量1000億キロワット時という世界一の巨大ダムの建設が始まったのである。
完成までに12年を要し、その間に江沢民政権から胡錦濤政権にバトンタッチした。
そんないわくつきの三峡ダムは、完成当時から国際環境団体などに、「人類最大の環境破壊」と揶揄されてきた。
それが今回の「半世紀に一度の水害」で、大きな試練に立たされることになった。
6月2日から、長江流域を含む中国南部に豪雨が襲い、1カ月以上経った現在も続いている。
長江水利委員会は7月2日、「長江2020年第1号洪水」を発表した。
4日の12時には、「長江水害旱魃災害防御クラス」を、「4級」から「3級」に引き上げた。
三峡ダムは、この地域最大の観光スポットとなっていたが、5日からダム付近では、封鎖措置が取られている。
三峡ダムがある湖北省には、680カ所(大型2カ所、中型12カ所、小型666カ所)のダムがあるが、そのすべてで警戒態勢を取っている。
周知のように、武漢を省都とする湖北省は、今年の年初から深刻な感染症の被害に見舞われたというのに、ようやくそれが去ったと思いきや、今度は豪雨と洪水である。
【この記事に対する私の見解】
というわけで、三峡ダム決壊については6月末くらいから問題視されておりましたが、未だに豪雨が続き、そのリスクが引き続き続いているので、状況を少しまとめてみたいと思います。
今回の長江の氾濫では、被災者は1400万人近くになっていると言われています。
そして、この洪水の一因として、三峡ダムの放水があると報じられています。
しかし、三峡ダムの放水を止められない事情があるようです。
その事情とは、上流域の重慶(チョンチン)市等が水没してしまうからと言われていますが。
それでは、放流を続けることによって下流域が水没してしまうのはいいのか?となります。
もちろん、下流域は水没してもいいという事にはなりません。
では、放流を続ける本当の理由とは何なのか、それは、三峡ダム決壊の危険性です。
中国政府側は決壊の可能性を否定していますが、実際にその真偽はわかりません。
しかし、かねてからこの三峡ダムを軍事的リスクとして認識していたのは確かであり、三峡ダムが決壊すると、とんでもない事になると認めている事になります。
実際、このダムが決壊した場合、被災者は少なくとも4億人以上という、想像を絶する規模の災害が起こると予想されていており、もし、これが現実となった場合は、国家経済の40%以上を支える経済基盤を失い、習近平政権が完全に崩壊してしまうとも言われています。
三峡ダムと同じクラスのダムは世界中で一度も決壊した事例がなく、その被害が予測しづらいのも恐ろしい部分ではあります。
ですので、中国政府はこのようにしか放流の理由を公開できないのではないでしょうか?では、実際にダムの状況はどうなっているのかというと、まず、この三峡ダムというのは世界一の規模を誇る巨大ダムです。
中国の威信をかけて作られたダムなのですが、おから工事と言われるように各所で手抜き工事が行われていたようで、「汚職の温床」とも言われています。
実際に、ダムの堤体に約1万カ所の亀裂も見つかっているようです。
また、当時の水利専門家も「洪水を助長する」と、反対意見を出していたようですが、それを無視して建設が始まり、結果として巨大な爆弾が出来上がってしまいました。
更に、このダムは記事にもあるように、周囲への環境汚染も深刻で、余りにも巨大で大量な貯水の為に、周辺の環境へ影響を与えてしまっており、水質面では工業・生活排水が垂れ流しの状況で「巨大な肥えだめ」とも言われています。
そんな水が大量に流れだしているという事を想像するとゾッとしますよね…このように、利権と見栄による物で、国民を未曾有の危険に晒してしまう点も鑑みると、三峡ダムの決壊は史上類を見ない失政となるので、何が何でも決壊は避けないといけません。
もちろん最大の原因は予測できないほどの豪雨なのでしょうが、これほどのリスクをはらんだ建造物は、あらゆるリスクを想定して設計するのが当たり前で、もし崩壊したら中国だけの問題で済まず、周辺国などにも被害が及ぶでしょう。
元々中国はその大きさからか周辺国に悪影響を及ぼすケースが多い国です。
大気汚染、漂流ゴミなど周辺国とのトラブルが跡を絶たない状況に、追い打ちをかけるような事態になれば国際的な非難はこれまで以上に高まるでしょう。
■この記事に対する反響のポイント
・きちんと情報委は公開されているのか?
・政府の対策を考えているのか?
・まだ雨は続くので警戒が必要
それでは、この記事に対する反響なのですが…中国では「今日にも決壊するかも」というように、かなりの不安を感じているようです。
また、現在公開されているダムの様子なども「本物か?」といったように、現状がきちんと伝えられているのか分らない、という不安の声も多くみられます。
「豆腐ダムだから恐ろしい」といったように、このダムの問題点も理解しているようです。
そして、「政府は大丈夫としか言わない」といったように、習主席が姿を見せないことも不安を増幅させる要因となっているようです。
【これに対する私の見解】
やはり「三共ダムは決壊はしない」という中国政府の見解をそもそも信じていないようですね。
また、ネットで広まっている武漢市の水没している中下流域の様子などを見て、すでに「決壊しているのでは?」というような意見からも、政府への信用の無さが伺えます。
こういった意見と、今までの中国政府の事故などへの対応を考えると、人命よりダムの決壊を防ぐことを重視しているのではと邪推してしまいます。
政府としては三峡ダムは「決壊しない」のではなく、「決壊させない」というのを重要視しているのではないかと。
中国政府が国家の威信をかけて作ったものであり、政権への影響も踏まえて、「決壊させない」ように、どんな手段も使うという事をしてきそうですよね。
「悲劇は起こらない、起きたら大変なことになるから」という建前で、ガンガン行動を起こすのは、慎重に舵取りを行う姿に比べて勇ましく見えます。
しかし、最悪の事態に陥った時に対応不能になるのは前者です。
中国政府には今かなりの高度な舵取りが求められています。
やはり、中国ともなると規模が違いすぎますね。
日本でも雨は続いていますし、何時になれば安心できるのでしょうか?
続きは動画で…
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三峡ダムの決壊で、被災者は4億人以上!「既に武漢市は水没しているのに…」放流を続ける本当の理由とは?
洪水被害が広がる中国、三峡ダムは果たして持つのか